17式ダメージ計算の説明

 以下に17式ダメージ計算の簡単な説明を述べます。この文章はSlay the Spireをやり込んだ経験のある人に向けて書いているため、初心者が攻略情報を求めて読む事を推奨しません。また、数学の期待値を理解している前提です。

 

 Slay the Spireをプレイ中、戦闘の前にどれだけ火力が出るのか?を予測したい場面が多々あります。また、このカード取得でどれだけデッキが強化されるのか?等も知りたいはずです。これに対し、デッキの火力を計算で予測する方法が17式ダメージ計算です。

 

  Aをデッキとします。例として、
 A={\displaystyle\{ストライク×5, 防御×4, 強打\}}
とします。これはストライク5枚、防御4枚、強打1枚、のアイアンクラッドの初期デッキです。全部アップグレード前のカードで、この文章では全てアプグレ前のカードを扱います。

 本題に入ります。まずこんなデッキを考えます。(なお、レリックやポーションは無視しています。)

  {\displaystyle A_1=\{脳天割, 負傷×9\}}

奇妙なデッキですが、簡略化のためです。私たちは1層3エナ状態の時このデッキが1ターンに平均してどの程度の火力を出せるか知りたいとします。どう計算するでしょうか?

その答えは、
デッキ1周ごとに脳天割1枚で32点出せる。
デッキ1周に2ターン必要。
このため、 32÷2=16  より、1ターン平均して16点出せる。
と計算できます。

 つまり、
デッキ1周ごとに与えられる火力を求め、それをデッキ1周に必要なターン数で割る。
これが17式の土台です。

 
ただ、大きな問題があります。それは実際のゲームで、デッキ1周ごとに与えられる火力を求めることが難しいことです。

 例えば A_2をこう考えます。

  {\displaystyle A_2=\{脳天割×2, 負傷×8\}}

脳天割が増え、負傷が減りました。 A_2にも前述の計算を施してみるとこうなるのでしょうか?

デッキ1周ごとに脳天割2枚で64点出せる。
デッキ1周に2ターン必要。
このため 64÷2=32 より、1ターン平均して32点出せる。


この計算は間違いです。なぜなら1層3エナを前提としている為、脳天割を2枚同時に引いた場合1枚しか使えないためです。
このように実際のゲームでは引いた全てのカードを使うのは難しく、デッキ1周で与えられるダメージを計算することは難しく見えます。

 

 しかし、期待値を使用しこれを解決します。デッキ1周ごとに出せる火力を期待値によって考えます。すると、脳天割を引いた時残りのハンド4枚に脳天割がある確率は
 1 - \dfrac{_8C_4}{_9C_4}=\dfrac{4}{9}

よって、デッキ1周ごとに与えられるダメージの期待値は
 \dfrac{5}{9} × 64 + \dfrac{4}{9} × 32 = \dfrac{448}{9} = 49.777...
と求まり、デッキ1周に2ターン必要なことを考慮すると平均して
 \dfrac{224}{9} = 24.888...
と分かります。

そして、この期待値計算まで考慮すれば、1層アイクラ程度の単純なデッキなら信用できる精度で1ターンに与えられるダメージの平均値の予測が可能です。


そして、具体的に行う計算は以下のものになります。非常に長い計算式ですが、結局のところただ期待値の足し算をした後平均を取るだけです。

17式の説明

以上です。